「ちょっと立ち止まって(桑原茂夫)」の3枚の絵

光村図書中学1年国語の教科書に、「ちょっと立ち止まって(桑原茂夫)」があります。
「ちょっと立ち止まって」は「だまし絵百科」が教科書用に書き改められたものだそうです。

この説明文、3枚のだまし絵が登場します。
どれも有名な絵で、おそらくだれもが一度は目にしたことがあるものです。

1枚目は、「ルビンの壺」と言われる絵です。
1915年頃にデンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案したものだそうです。
白地の壺、または、黒地の向き合っている二人の顔が見える有名な絵です。

2枚目は、「妻と義母」。
この絵は、作者不詳の19世紀からある古い絵なのだそうです。
それが、イギリスの漫画家 W.E.ヒルによって改作され、雑誌に掲載されたのだそうです。また、心理学者エドウィン・ボーリングの研究に利用され、1930年に公表されたのだそうです。
画面奥に顔を向けている若い女性、あるいは横顔を見せている老いた女性のどちらにも見えるというこれまた有名な絵です。

3枚目は、「All is Vanity(全ては虚しい)」。
1892年に、アメリカのチャールズ・アラン・ギルバートという18歳の青年が描いたものなのだそうです。ライフ・マガジンに載り、一躍有名になった絵なのだそうです。
この絵は、近くで見ると化粧台の前に座っている女性が見えます。目を離してみると、どくろが見えてくる絵です。

余談ですが、「vanity」は、「虚栄心,うぬぼれ;空虚さ,むなしさ,はかなさ;空虚な物」などの意味があります。それが、「vanity case」となると、「携帯用化粧品入れ」に。「vanity mirror」は、「化粧鏡」です。
化粧って…微妙です。

さて、学習の前に、子どもたちとこの3枚の絵を見てみました。
「ルビンの壺」と「All is Vanity(全ては虚しい)」は、私も子どももすぐに両面が見えました。
ところが、「妻と義母」は、手強い。

私も子どもも若い女性はすぐにわかったのですが、老いた女性がなかなか見られない。
離れたり、近づいたり、うーん、見えない。
目を細めても、見えない。
文章には、「若い女性の絵と思った人には、おばあさんの絵は簡単には見えてこない。」とあります。まさに、その通りになっています。
解決策がのっています。「…今見えている若い女性の絵を意識して捨て去らなければならない。」とあります。
そんなこと言ったって、意識は極力しているのですが、若い女性ばかり見えてしまいます。

茂木健一郎氏が言う、「アハ体験」中。
「アハ体験」は、ひらめきや気づきの瞬間に「あっ!」と感じる体験として紹介されていることです。さらに、「アハ体験」は、脳を活性化するといいます。
テレビで見たときは、わからなくても、その考えている過程も脳を活性化すると言っていました。
私も子どもも脳が活性化しています。

まずは、子どもが発見。
「見えた!先生、若い女の人の顔の輪郭が鼻だよ!」
「鼻ねえ…」必死に鼻として見ようともがく私。
「胸のところは、おばあさんのとんがったアゴだよ!」
「アゴねえ…」その時、一瞬のひらめきが。
「見えた!」
子どもの助けは借りたものの、おばあさんの顔、しっかり見ることができました。
すんごい脳が活性化した感じです。

でも不思議です。おばあさんが見えてしまうと、今度はおばあさんばかり見えてしまいます。
ちょっと魔法使いのようで怖いんだけど。

作者は、最後に「私たちは、ひと目見たときの印象にしばられ、一面のみをとらえて、その物の全てを知ったように思いがちである。」と、述べています。
本当に気をつけなければならないことです。
ものごとを考察したり判断したりする場合、多面的な見方や考え方をすること、大切なことです。

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